こんにちは、図書館司書のこのみです。
公共図書館で児童サービスを担当する司書のこのみが、読書感想画とコンクールについて解説します。
- 図書館勤務歴8年。公共図書館にて児童サービスを担当。
- 近隣の小中学校の児童・生徒や、教員・学校図書館を支援。
- 学校図書館への団体貸出やレファレンス、学校訪問、図書館見学などの対応を行っています。
読書感想画コンクールにチャレンジしてみたいけど、どんな本がおすすめか、どうやってかけばいいのかわからないよ。
では、読書感想画におすすめの本やかき方についておはなしします。
読書感想画ってなに?
「読書感想画」とは、本を読んで「おもしろい」「楽しい」「よかった」「すてき」「いいな」感じた気持ちや印象を絵で表現するとりくみです。
つまり、本を読んだイメージをもとに自分の感動を伝えるためにかいた絵のことです。
なんのために読書感想画をかくの?
目的(もくてき)と意義(いぎ)
- 本を読む力とそれを表現(ひょうげん)する力が身につく
- 本を読む人や、読書(どくしょ)がすきな人がふえる(=読書振興)
- ものごとをゆたかに感じられる力(=感性)や新しいことを思いつく力(=想像力)が身につく
このように、読書感想画は、読書と芸術表現を融合させた独特の教育活動であり、子どもたちの総合的な能力開発に貢献する重要な取り組みとして評価されています。
何を読めばいい?
読書感想画をかく前に読む本をきめましょう。
もし、読書感想画コンクールにチャレンジしようと思っているのであれば、本のえらび方はふたつあります。
- 指定読書
- 自由読書
指定読書(していどくしょ)
感じたことを絵にかきやすい本としてコンクールの主催者がえらんだ本(=指定図書)をよんで、読書感想画をかく方法。
自由読書(じゆうどくしょ)
それ以外の本を自分でえらんでよみ、読書感想画をかく方法。
日本や外国のものがたり・ノンフィクション・エッセイなど、いろいろな本を読んでみましょう。
なんども読むたびに、新しい感動や発見があったり、いろいろなイメージがうかんでくると思います。
なにより、あなたの好きな本をえらぶことが大切です。
どうやって絵を描けばいい?
基本の手順(きほんのてじゅん)
- 本をえらぶ 好きな本や感動した本をえらびましょう。気に入ったところをくりかえしよんでみてもよいです。
- 内容の整理 本の内容や感じたこと、頭にうかんだイメージなどをメモで整理します。言葉や絵でかいてみても よいでしょう。
- スケッチ(下書き) 感想やイメージをもとにして簡単な下書きをします。一つだけでなく、いくつかかいてみて、その中からえらんだりくみ合わせてかいてもよいでしょう。
- 色やトーンをきめる 本のふんいきや感じた印象に合わせて色やトーンをきめましょう。どんな紙に、どんな絵で表現するとよいか、色合いや構図などをいろいろと試してみましょう。
- 絵をかく 背景からかきはじめ、次にだいじなキャラクターやものをかいていきましょう。
- しあげ だいじな人物からはじめ、さいごに背景をぬります。必要なら細かいところをなおしたりしましょう。
その他のポイント
主人公になって
主人公になったつもりで、うきうきわくわく、はらはらどきどき、感じた気持ちや思いを大切にして物語の絵をかいてみましょう。
そのためにはまず、主人公になって物語の中を旅してみるつもりで本を読んでみるとイメージがわきやすくなります。
物語の世界を表現しよう
物語には、楽しい話、かなしい話、うつくしい話などいろいろなおはなしや世界があります。
自分が感じたお話のふんいきを表現するためにはどうすればよいか、考えてみましょう。
張り絵にしたり、色画用紙にかいたり、しわの多い和紙をつかったりと、物語の世界やふんいきにあった画材をえらんでみましょう。
自分の気持ちを表現しよう
見る人をひきつけるような読書感想画をかくには、本をよんで感じたことやイメージを自分のなかでじっくりとあたためてどんなふうに表現するか考えることが大切です。
読書感想画は、ただ物語の場面をかくだけではありません。
自分の感動や、感じた心を表現することこそが、読書感想画の醍醐味です。
描くときに注意すること
どんなものを使って描けばいい?
読書感想画コンクールに応募するのであれば、「応募要項」を確認しましょう。
コンクールによって、大きさや使ってよい画材がきめられています。
自由にえらべるようであれば、次のようなものからえらんでみましょう。
紙:画用紙、色画用紙、ケント紙、和紙など
画材:水彩絵具、色鉛筆やマーカー、クレパス、パステルなど
方法:版画、貼り絵、にじみ、スパッタリング(金網ブラシ)などの技法など
ただし、特別な方法や画材を使ったからよい絵になるわけではないので注意しましょう。
大切なことは、本を読んで感じたことを表現することです。
表紙やさし絵をまねしてもいい?
表紙やさし絵、アニメやマンガの絵をまねするのはやめておきましょう。
映画やテレビ、マンガやアニメになっている作品もありますが、表紙やさし絵もふくめて、そういったものは本の内容をわかりやすく伝えるために専門家がつくったものです。
そういうものをまねしたく気持ちもわかりますが、自分が感じた感動やイメージを自分自身が表現することにはなりません。
大切なのは、自分が感じたことを自分の方法でかたちに表すことです。
さいごに、大人の方へ
読書感想画の指導をするうえで、子どもの想像力をいかすためには、大人がちょっとしたきっかけを作ってあげることが重要でもあります。
たとえば、次のようにアドバイスしてみると良いでしょう。
- いつもと違う画材を提案してみる
- 心にわいてきたイメージをさらに膨らませるように自分自身と対話する時間を設ける
- イメージは浮かんでいるけれど思うように描けない子には、そのわけを聞いて描き始められるよう手助けする
- 子どもが複数人いる場合は、お互いの作品を鑑賞しあう
こうしたちょっとした手助けのためには日頃から子どもと関わり、子どもの様子を知っておくことが必要です。
想像力を働かせて自分なりの世界を膨らませていくと、子どもはより表現することを求めるようになります。
そして、「想像する」ことから豊かな「創造をする」過程において、子どもは自分自身を知って表現することを学んでいき、子ども同士もお互いの違いや良さに気が付いていきます。
この過程で得られる体験こそが、ながい目で見て子どもの人生を豊かにしていくものだと私は思います。
以上、図書館司書のこのみでした!
最後まで、読んでいただきありがとうございます^^
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